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FDレンズをEOS Rで使う変換アダプター

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キヤノンが1970〜1989年に展開していたFDマウント/NewFDマウントのレンズ群は、FDレンズ 累計総数68本、NewFDレンズ 累計総数64本と累計総数132本ものレンズがあり、現行のキヤノンEFレンズ群の累計総数約180本に匹敵するラインナップの豊富さがあります。 光学特性的にも、いわゆる「銘玉」と呼ばれるレンズも沢山ありますが、オールドレンズブームの最盛期の2013年頃にあっても世間ではイマイチ人気がありません。 その理由は定かではありませんが、中途半端にモダナイズされた感のある1980年代独特なダサさが漂っているからなのかな、、、と思わなくもありません(ミノルタMDなども似た傾向を感じます)。   とまれ、そんなFDレンズを現行ミラーレス機のEOS Rで使うためのマウント変換アダプターを購入しました。今回購入したのは上記写真の右にある FOTGA社 製「FD-EOS R」。FDマウントをRFマウントに変換するアダプターで、台湾からの個人輸入で$19弱(送料込み)でした。 写真左は以前より持っていた中国Kipon社の「FD-EOS」マウントアダプター。FDマウントをEFマウントに変換するアダプターです。いわゆるフランジバックと言われるレンズ装着マウントからセンサーまでの距離が合わないために補正レンズが入っています。   この2つを並べて気づくのは、左のKipon製が〔LOCK〕-〔OPEN〕の記載なのに対し、今回購入した右のFOTGA社製アダプターには〔OFF〕-〔ON〕の記載となっています。私は、Kipon製の〔LOCK〕-〔OPEN〕記載が正しいと考えます。 何故ならば、このリングは装着したレンズの絞り羽根位置を固定するもので、〔OPEN〕状態では常に開放となり、〔LOCK〕側にするとレンズの絞りリングで調整した値に絞り羽根を固定できる仕組みのためです。FOTGA社製の〔OFF〕-〔ON〕では意味が通じませんからね。   FD-EOS Rマウントアダプターは上記のように何もないただの筒です。唯一、絞りレバーを動かすためのネジが1本飛び出しています。これは前述の〔OFF〕-〔ON〕切替(=OFFで絞りリングで定めた値に固定、ONで絞り開放)を制御するものです。 尚、レンズ側の根元付近にあるモード切り替えレバーは〔A〕では無く〔M〕に

放射能を帯びたレンズたち

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またまた、古いキヤノン製レンズについてのお話し。 日本人は「放射能」という言葉に敏感な国民です。広島・長崎の原爆投下から福島原発事故に至るまで、これ程までに放射能に苦しめられ続けている国ですから無理もありません。   ・・・そんな、忌み嫌われる 放射能(放射線)を放つレンズ が我が家には2本も存在すると言ったら、どんな印象を持たれるでしょうか。その2本とは↓ ・Canon FL 50mm f1.4 II ・Canon FL 50mm f1.8 です。これらレンズは光学特性の向上を目的に、酸化トリウムという放射性物質を用いて製造されており、レンズが放射能を持っていて放射線を放ちます。これらはキヤノン製ですが、別にキヤノンに限った話しでは無く、1960〜70年代のレンズには見られる珍しくは無い手法のようです。   既に半世紀以上も昔のレンズですから、もう放射線なんて出てねーんじゃねーの?と思うなかれ、トリウムの半減期は7340年(!)という事で、まだまだ現役バリバリに放射線を放っている事が分かります。ホント、放射能って恐ろしいですね。   こうした放射能を帯びた古い時代のレンズは「アトムレンズ」又は「トリウムレンズ」と呼ばれ、オールドレンズが流行った2013年頃にはよくネット上でも話題になっていたものです。   さて、そんな放射能を帯びたレンズですが、本当に放射線を出しているのか測定器で測っている例がネット上では散見されます。概ね自然界に存在する放射線の約3〜5倍程度は放っているようなので、枕元に置いて寝たりはしない方が良いか知れません。 また、アトムレンズには以前から「含有する放射線がフィルムに感光しノイズとして写り込むのでは?」というモノ。長年、理論上のヨタ話しであったこの現象を実験で実証された方が居りました。↓ 参考サイト:トリウムレンズの謎 | あぷらなーと ★はじめに、念のため「放射線とは?」よく勘違いされるんですが、「放射線」は「放射能」とは異なります。放射線とは、放射性物質や高エネルギー天体などから放射さ...   上記サイトの実験では、フィルム程度の感度なら感光しないが、昨今のデジカメでは感光してノイズになる事がある、との事。それにしても凄い人が世の中には居るものです。    「放射能を帯びたレンズ」と聞くと、何だか不気味な妖気に

FDレンズとNewFDレンズ、メカニカルを愉しむ

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またまた古いキヤノン製カメラのお話し。今回はFDレンズ(1970〜79年)、NewFDレンズ(1979〜1989年)について。 FDレンズと、その改良版であるNewFDレンズを合わせると約20年弱続いたキヤノンのフィルム一眼レフカメラ時代を築いたマウントです。日本が急激に豊かになった時代と合致し、この時代は各社の高価な一眼レフカメラが飛ぶ様に売れた時代。それだけに丁寧な作りが魅力のカメラ/レンズが沢山存在します。   まず、1970年からスタートしたFDマウントのレンズについて特徴を一言で表すなら「TTL開放測光」を可能としたレンズと言えます。 カメラは写す対象である被写体が受ける光の量に応じて露出を決めねばなりません。その為には光の量を測定する「測光」が必要になりますが、以前のFLマウントでは絞り羽根を実際に絞り込んでからレンズを通じて入ってくる光の量を測る「TTL絞り込み測光」を行っていました。 絞り込み測光では、測光のために絞り込みレバーを押して絞り羽根を動かしてから測光する面倒な所作を強いられます。 【関連記事】「絞り込み測光」と「開放測光」そして「TTL」。 カメラは光を集めて写し出す装置のため、光の量(=被写体の明るさ)を測る「測光」がとても重要です。 いまでこそ当たり前すぎて意識しない「TTL測光」ですが、「TTL(Through The Lens)」の名の通り、レンズを通じて入ってきた光の量を測定するこの方式が確立したの...     それに対しFDマウントが実現した「TTL開放測光」は、レンズ絞り羽根を動かす事なく、絞りを開放にしたまま(実際に撮影時には絞り込まれる値に応じた)測光を可能としました。 これを実現する為に、FDマウントのレンズには、そのレンズが持つ絞り開放値の情報をレンズについたピンの長さでカメラボディ側に伝えます。 これにより、カメラボディ側は装着されたレンズの絞り開放値を把握することができ、そこから何段絞り込まれたかでレンズ側が設定した絞り値を算出する事が出来ます(同様にカメラボディ側で設定した絞り値をレンズ側に伝える事も出来ます)。   いまでこそ電子制御で簡単にやり取りできるこれら情報ですが、当時は全てメカニカルな機械仕掛けで行っていたのですから、その緻密な制御には感心します。  

1950、60、70、80年代のキヤノン製カメラ

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前回に引き続き 、またぞろ古いキヤノン製カメラのお話し。各年代の各マウントを追っていくことでカメラの歴史を知る事と併せて、現在にも通じる写真機の基本構造を知る手掛かりにもなり、なかなか興味深いです。 【関連記事】スピゴットな R、FL、FD、そしてNewFD。 前回に引き続き 、古いキヤノン製カメラのお話し。今回はスピゴット式のマウントについてご紹介します。 キヤノンでは1959〜1963年の約4年間に渡って使われた「Rマウント」に始まり、続く「FLマウント」(1964〜1974年)→「FDマウント」(1970年〜1979年)→「N...     ご存知のように1940年代のキヤノンは、ライカ互換のスクリューマウントを採用しています。当時、カメラと言えばいわゆるバルナック型ライカの時代。キヤノン創業者の吉田五郎氏はライカII型を分解して構造を研究したと言います。 そんなライカの模倣を脱し、キヤノンがオリジナルなカメラ作りを始めたのが1950年代の「Rマウント」からと言えます。そんなRマウント以降、キヤノンのマニュアルレンズ変遷を見つつ、カメラの歴史を振り返ってみました。   ◆ Rマウント(1959〜1963年) この時代は一眼レフカメラの幕開け期にあたります。Rマウントは、そんな一眼レフ時代の新しいマウントとしてスタートします。1959年、キヤノンは初の一眼レフカメラ「キヤノンフレックス」を発売します。   ◆ FLマウント(1964〜1974年) Rマウントが一眼レフカメラ幕開け時代なのに対し、続くFLマウントは「TTL測光の時代」と言えます。キヤノンではFLマウントを採用した第2世代と言える一眼レフカメラ「Canon FX」(1964年)を発売。絞り込みTTL測光を装備することで、装着するレンズの画角に応じた測光が可能となる大きな進歩を果たします。   ◆ FDマウント(1970〜1979年) 続くFDマウントは「TTL開放測光」の時代となります。FDレンズには開放F値をカメラボディ側に伝えるピンが付けられ、これにより「TTL開放測光」が可能となります。 FDマウントと共に「Canon F-1」「Canon FTb」というFDマウントを採用した名機も登場。FTbに至っては、実に発売から3年で100万台を超える大ヒッ

スピゴットな R、FL、FD、そしてNewFD。

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前回に引き続き 、古いキヤノン製カメラのお話し。今回はスピゴット式のマウントについてご紹介します。 キヤノンでは1959〜1963年の約4年間に渡って使われた「Rマウント」に始まり、続く「FLマウント」(1964〜1974年)→「FDマウント」(1970年〜1979年)→「NewFDマウント」(1979〜1989年)と、約30年に渡りスピゴット式のマウントが用いられてきました。 スピゴットとは、いわゆる「継手(つぎて)」で、イメージしやすいのは水道管などのパイプの繋ぎ合わせ部分でしょうか。装着して締め付けることで固定するもので、まさにレンズも以下のようにレンズを嵌めたあとに継手部分を回して締め込むものです。 R〜FL〜FDマウントまでは、ごく単純にレンズを装着後に、継手となるリングを回して締め込むタイプだったのですが、これには幾つかの欠点がありました。   (1) レンズ交換し難い 上記のように、片手にはカメラボディ、もう片方の手にはレンズを持った状態で、レンズ根元にあるリングを締め付けて固定する必要があります。 これがよく「手が3本いる」と陰口を言われる所以です。最近のレンズはレンズ自体を握って捻ることでカチっとカメラボディに装着できますが、スピゴット式の場合、机の上などにカメラを置いて装着する等しないと実に難儀。   (2) どこまで締め付ければ良いのか分かり難い 固定リングをしっかり締めないとダメな反面、それをどこまで締め付ければ良いのか分かり難い問題があります。 要は気合い入れてしっかり締め付けてしまうと、後で緩めるのにとても苦労したりします。最近のレンズのようにカチっというロック機構も無いので、締め付けの目安に欠ける訳です。   こうした問題を解決するため、1979年に登場したNewFDマウントでは、旧来までのR〜FL〜FDマウントに上位互換を持ちつつ、大きな進化を果たします。 スピゴット式のまま、これまでは締め付け部分をシルバーのリング部分だけに担わせていたのに対し、レンズ丸ごと締め付け部分と一体化することで、レンズを握って捻って装着するタイプになります(厳密に言うとレンズが二重構造になっていて、手で掴むレンズ筐体外側の部分と、絞りレバー等の決められた位置で装着する必要のある内側部分とで構成され、外側を回しても内側は回らない構