インターネット黎明期の名作映画「サイバーネット」


先日はインターネット前夜と言えるパソコン通信時代の話をしましたが、本日の内容はインターネット黎明期を描いた1995年の映画「サイバーネット」(原題「Hackers」)についてご紹介します。ご存じの方、おりますでしょうか。


この映画「サイバーネット」は日本未公開な映画ですが、ビデオでは出ていました。当時は雑誌「WIRED」等でも紹介されていた事もあり、レンタルビデオ店に新作で並んだ際に真っ先に借りて観た映画でした。

 

いわゆる低予算なB級映画ですが、聞いて驚け、主演は俳優ジョニー・リー・ミラーと女優アンジェリーナ・ジョリーという豪華さ!

ジョニー・リー・ミラーは本作が映画初出演。翌1996年には映画「トレインスポッティング」にシック・ボーイ役を演じて一躍スターになりますし、アンジェリーナ・ジョリーにとっても映画初出演が本作であったりします。さらに共演がきっかけで2人は結婚までしている始末(すぐ離婚しましたが・・・)。

 

映画の内容は、11歳の天才ハッカー少年である通称「ゼロ・クール」。有罪判決をうけ、18歳の誕生日までコンピューターの操作が禁止された彼が高校生となり、青春とハッキングを謳歌する日々を描いた青春映画です。

当時は未だインターネットやハッカーという存在が一般的に正確な認知がされていない時代であるため、極力わかりやすく表現しようとしている努力の痕跡が伺えます(例えば、フィクションとノンフィクションをうまく掛け合わせた内容としていて「こんな事件を聞いたことある!」的な納得や理解に結びつけている点など)。

私は当時からハッカー事件等に興味を持ち、名著「カッコウはコンピュータに卵を産む」(1991年)「ハッカーを追え!」(1993年)等を読んでいたので、この映画の主人公ゼロ・クールが実在するロバート・T・モリス氏など著名なハッカーたちをモデルにしていた事がわかったのですが、多くに人にとっては「なんか、そんなニュースを聞いたことある」と漠然と記憶の片隅にある情報とリンクすることで、映画の中のストーリーにリアリティさを肉付けしているようでした。

ただ、ハッキングの手口は、映画の中でしか存在しないようなヘンテコなPC操作画面だったりして、いわゆる「Things Computers Can Do In Movies.」と呼ばれる世界線で作られたインチキの塊りでしたが、そこはご愛嬌なのでしょう。

 

映画全体には低予算な中でもクールに見せようという工夫に満ちた内容となっています。とくに使われている楽曲がなかなかセンスあるテクノ曲ばかりで、これだけでも楽しくなってきます。

例えば美しいオープニング曲は英国のテクノユニットであるオービタル(Orbital)の「Halcyon and On and On」(1993年。本来は「Halcyon + On + On」表記)が使われています。 

この映画のための曲ではなく、既存の楽曲が使われているのも低予算映画ならではですが、興味深いのは、この曲にまつわるエピソード。オービタルは兄弟ユニットですが、その母親が長年に渡り鎮痛剤ハルシオンの中毒者であったこと、そして当時にイタリアのAriston(アリストン)社が洗濯機のCMに使っていたキャッチコピー「Ariston + On + On」をモジって付けられたタイトルであること、さらにこの曲は同時期にまったく毛色の違う映画(「モータルコンバット」(1995年))でも使われていたり、、、と一々マニアックなのです。

 

残念ながらB級映画すぎるのか、各種ネット配信では扱っていないようですが、DVDやブルーレイでも二束三文なので、まだ観ていないサイバーパンク映画好きにはオススメします。〔了〕


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