エモい写真が撮れる、FL50mm F1.4 II

「エモい」という言葉を、私のようなオジサン世代でも日常的にも耳にするようになったのは2017年頃でしょうか。実際その頃からGoogleトレンドのキーワード検索にも上がってきているようです。

この言葉を初めて耳にしたとき、心の汚れた私は「エロい」+「キモい」=「エモい」の略と勘違いしたものですが、実際には「エモーショナル」や「えもいわれぬ」を語源とした「趣がある」ものに用いられる形容詞が正解のようですね。

 

さて、先日から記事を連発しているように、Canonが1960年代に発売した「FL50mm F1.4 II」なるオールドレンズを気に入って使っています。このFL50mm F1.4 IIで撮った写真が、いわゆるエモいんです(オジサンは覚えた若者言葉を早速使いたがるのです。若者がその言葉を使わなくなる時期に反比例して)。

 

Bottles.

(50mm , F1.4 , 1/320 , ISO 200) 並ぶワインボトル。手前のボケは良い感じ。奥の木々のザワついたボケは汚いと言えば其れ迄ですが、なかなかエモーショナルな描画をしてくれると思いませんか。

 

Cash register.

(50mm , F1.4 , 1/200 , ISO 100) レジを打つ手前の女性に合焦したものです。周辺減光が激しいので、より中心の人物にフォーカスされた感じが良いですね。

マニュアルフォーカス時代のレンズはピントリングの感触も適度なトルク感があるので慎重なピント合わせがしやすいです。私の持つFL50mm F1.4 IIは、グリスがやや硬くなって来ているのですが、昨今のAFレンズに搭載された抵抗感のないスカスカなMFリングとは比較にならない感触の良さです。

 

Evening.

(50mm , F1.4 , 1/320 , ISO 400) 夕暮れの団地。これだけ暗くても階調がしっかり再現できているのは素晴らしいですね。フリンジが出ているのも愛嬌です。

  

JAPAN CAFE FABLE.

(50mm , F1.4 , 1/200 , ISO 400) この写真は奥の壁に描かれた「JAPAN CAFE FABLE」の文字に合焦させています。

左の壁に着物の女性が描かれた絵と、その横に照明がありますが、独特な柔らかさとボケ感に包まれていますよね。また、右手前にいるメガネの女性のボヤけ方も実にソフト。

悪い見方をすればボサボサにボケているのでしょうが、そのソフト感に包まれる感じが私は好きです。

 

SAKIKO likes push-pop very much.

(50mm , F1.4 , 1/250 , ISO 800) 例えば、この写真。次女の瞳に合焦していますが、開放1.4の薄いピント幅は僅か1.5mm程度しかありません。それでもピント合わせが可能なのは、ミラーレス機に搭載されているピント位置拡大機能の恩恵です。

 

SAKIKO.

(50mm , F1.4 , 1/100 , ISO 400) ピントを軽く外した位のユルさも雰囲気あって良い感じだと私は考えています。

 

Canon Extension tube M for FD-Mount.

(50mm , F1.4 , 1/5000 , ISO 500) キヤノンが1970年代に販売していたFDレンズ用の「エクステンション・チューブM」、いわゆる接写リングです。

まさか、当時これを作った人たちも半世紀以上も経って尚、使われているとは想像していなかったでしょうね。こちらのリングをカメラとレンズの間に咬ませると下記のように接写が可能となります。

SEIKO Mechanical SARB035.

(50mm , F1.4 , 1/2000 , ISO 1600) FL50mm F1.4 IIの最短距離は0.6mmですが、接写リング5mmを装着すると、このような程よい接写が可能となります。

※因みにこの時計はセイコーのメカニカル「SARB035」。知る人ぞ知る「Poor man's Grand Seiko」(貧乏人のグランドセイコー)と呼ばれる名機。その端正な面持ちから世界中に愛好家がいることでも知られます。

 

このようにFL50mm F1.4 IIは、昨今のキレキレなデジカメ専用レンズとは大きく異なった、ユルくてフワっとしている、まさに「エモい」写真が撮れる訳です。

中古相場も7,000円〜8,000円と10年以上変わらず安価なので、1本買っておいても損は無いかと。もっと評価されても良いレンズと私は考えます。〔了〕



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