F1.4越しに眺める愉しさ

Canon FL50mm F1.4

その昔、某高級レンジファインダー機を触らせていただく機会がありまして。本来であればメカニカル精度の高さ等に関心を向けるべきなのでしょうが、私が感じたのはピント合わせの難儀さでした。

目の弱い私にとって、いわゆる二重像合致式でピント合わせをするレンジファインダーの方式は不向きだったのです。ミノルタがオートフォーカス搭載のα7000を発売した1985年から40年ちかく経った現在、敢えてマニュアルフォーカスのカメラを使う理由も無かろう、と思ったものです。

 

Canon EOS R + FL50mm F1.4 II.

そんな私ですが、ここ最近はマニュアルフォーカスのレンズばかり使っています。そのレンズとは10年以上前に中古で購入した単焦点「FL50mm F1.4 II」(1968年リリース)。

元々はフィルムカメラ「Canon FTQL」で使う為に購入したものですが、フィルム価格や現像料の高騰からフィルムカメラを使う機会がめっきり減り、最近は部屋の飾りとなっていました。

 

Canon EOS M50 (Kiss M) + FL50mm f1.4 II

FL50mm F1.4 II を再び使い始めたのは、ミラーレス機の「EOS R」や「EOS Kiss M」を買ってから。ミラーレス機とオールドレンズの相性の良さは、フランジバックの短さからマウントアダプターを介せば大抵のレンズが装着できる事は勿論ですが、ピント合わせのしやすさにあると改めて感じた次第です。

私の場合、マニュアルフォーカス用のピーキング表示は用いず、専らピント位置の「拡大表示」機能に頼ってピント合わせをしています。ミラーレス機だからこそ可能となる拡大表示機能により、目の弱い私でも難なくピント合わせが出来るようになりました。

そうなると、オートフォーカス時代な現代において、"逆に"手動でピント合わせをするマニュアルフォーカスが愉しく感じてくる訳です(笑)。加えてF1.4のような被写界深度の浅い世界でピントが合うと、その嬉しさも倍増するというもの。

そして、FL50mm F1.4 IIのようなオールドレンズの常として、絞り開放で撮ると、あらゆる収差が生じ、滲み・歪み・流れ・周辺減光のオンパレードになります。しかし、昨今の光学的にも優れ、電子補正が当たり前な現代レンズを見慣れた目には、其れらの粗さえも新鮮に感じて愉しくなってくるのですから、人のココロとは不思議なものです。

 

Doughnut.

(EOS R + FL50mm F1.4 IIにて。F1.4、1/80、ISO640) 右に見えるMacBook Airキーボードあたりのボケの汚いことと言ったら!(笑)。低いコントラストが良い感じに柔らさになっています。

 

Piquitos MOSCATO.

(EOS R + FL50mm F1.4 IIにて。F1.4、1/80、ISO500) 暗めの室内でスポットライトの当たったテーブルにて。これも強烈に周辺減光が出て面白いです。

 

Weathercock.

(EOS R + FL50mm F1.4 IIにて。F1.4、1/6400、ISO250) ピントが来ている風見鶏も、現在の基準ではシャープさもなく、滲みも酷く、そして周辺減光も相当なものですが、それさえも面白い。


SAKIKO.

(EOS R + FL50mm F1.4 IIにて。F1.4、1/250、ISO1250) F1.4ともなると、背景との分離感が良いですよね。ボケによる背景の溶け方には賛否あるでしょうが、私は好み。やはりF1.4で眺める世界は独特です。

 

SAKAI COFFEE.

(EOS R + FL50mm F1.4 IIにて。F1.4、1/250、ISO200) これも天井照明の滲みと歪みの酷さが(とくにに隅っことか)が破綻してて、なかなか面白い。

 

SAKURAKO.

(EOS R + FL50mm F1.4 IIにて。F1.4、1/250、ISO1250) 描写が全体的に甘いのも、逆に言えばポートレート向きとも解釈できます。

 

SAKIKO - Canon FL50mm F1.4

(EOS Kiss M + FL50mm F1.4 IIにて。F1.4、1/80、ISO250) APS-CなEOS Kiss Mに装着すれば、換算80mmの中望遠レンズに。多少のピントのズレさえ”味”に思えてきます。

 

SAKURAKO - Piano lesson.

(EOS R + FL50mm F1.4 IIにて。F1.4、1/80、ISO400) 開放での撮影はとにかく甘いふんわりとした描写なのが面白いですね。

 


LENS HOLICさんのYouTube動画でもFL50mm F1.4(※初期型)を紹介されておりますね。評価は分かれたようですが、コスパ最高なレンズなのは間違いありません。

(※FL50mm F1.4には、初期型、1型、2型の3モデルあります。私が持っているのは初期型〜1型を改良した2型になります。ですが描写の傾向は同じと考えます。この辺りの詳しい内容はこちらの記事で紹介しています)

 

FL50mm F1.4 IIは私が購入した10数年前では中古相場5,000〜6,000円程度でしたが、最近は7,000〜8,000円程度と若干値段も上がってきています。

とは言え、流通量に反比例した不人気レンズなので、オススメな狙い目レンズと考えます。気になった方は、是非お早めに。〔了〕

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