FL50mm F1.4 II、半世紀を経た描画力

CANON FL 50mm F1.4 II

最近、我が家にある古のキヤノンレンズをご紹介していますが、FL50mm F1.4 IIの描画力を改めてじっくり検証してみました。

結論から申し上げると、半世紀前のレンズと現代のレンズを比較し、それ程に決定的な差が無い事を実感しました。むしろ最新のデジタルカメラと組み合わせることでレンズ本来のポテンシャルを最大化できると考えます。


尤も、感覚的なモノサシになるので個人差はあるでしょうが、レンズ性能を絶対的/相対的に測る行為そのものが、間違っているのかも知れない、という感覚になる為です。

と言うのも、数値的に測定可能な性能を通じ写真として記録される「描写力」に我々は感動するのでは無く、そのレンズを通して描かれる「描画力」、いわばレンズ自身の表現力に心を揺さぶられる為と考える訳です。

 

そうした視点からFL50mm F1.4 II(1968年発売)を見て行きましょう。FL50mm F1.4 IIの基本性能として、f4.0〜5.6辺りからイイ感じになってきます。周辺減光はf4.0で気にならない程度に、f5.6からほぼ完全に消える印象です。解像感もf4.0辺りでキレイになり、f5.6では四隅もイイ感じに解像感が上がってくる感じです。

こうした特性のレンズ故に、今回はf4.0で描画力を検証する事にしました。

 

FL50mm F1.4 II (f4.0)

FL50mm F1.4 IIにて、絞り値f4.0で撮影しています。全体的に端正な描画で、歪みも感じられません。

 

EF50mm f1.8 II (f4.0)

続いてEF50mm F1.8 IIという1990年発売のレンズ。定価12,960円という激安レンズですが、きっちり描画してくれます(尚、カメラボディはEOS Rを使用したのでEF50mm F1.8 IIではDLO補正が掛かっています)。


先述のFL50mm F1.4 IIと比較して、解像感が更に向上しているのが分かりますが、だからと言ってFL50mm F1.4 IIが眠たい描画では無く、しっかり解像してくれているのが22年後に発売されたEF50mm F1.8 IIと比較することで、より分かりやすくなったと考えます。

 

もう少しディテールを比較してみます。

FL50mm F1.4 II
EF50mm F1.8 II

今回の検証では四隅(周辺)の解像感は対象にしていませんので、あくまで中央部重点主義ですが、其れ程に有意な差は感じません。強いて言えばEF50mm F1.8 IIの方がエッジが立っていますね。

 

とは言え価格差を考慮する必要もありますので、物価換算してみます。FL50mm F1.4 IIは、1968年当時に21,800円。EF50mm F1.8 IIが発売された1990年の物価(CPI=消費者物価指数)で換算すると、FL50mm F1.4 IIは実に77,150円の価値に相当しますので、12,960円のEF50mm F1.8 IIとは結構な開きがあります。

年月が経つ事で、これ程まで安価に良いレンズが入手出来るようになった、とも言えるでしょう。

 

次に、単焦点レンズではありませんが、我が家にあるLレンズ「EF24-70mm F2.8L II USM」(2012年発売:230,000円)と比較してみましょう。

EF24-70mm F2.8L II USM (50mm F4.0)

EF24-70mm F2.8L II USM、絞りf4.0と同条件で撮影。前述のレンズと然程描画は変わらないように思えるものの、全体的にキッチリした印象があるのはディテールの再現に富んでいる為でしょうか。

↓部分アップ。

EF24-70mm F2.8L II USM

稜線と言うのか、カメラボディのディテールがEF24-70mm F2.8L II USMでは一層きめ細かく描かれ、こうした細かい積み重ねが写真全体にキッチリした印象を与えているのが感じられます。

これはズームレンズですが、よくLレンズのズームレンズは、各画角の高性能な単焦点レンズを寄せ集めたようだ等と言われますが、まさにそんな感じですね。

 

其れでもFL50mm F1.4 IIを改めて見てみると、中央部の描画力は今でも十分に実用に足るレベルであり「レンズは資産。一生モノ」というのも頷けますね。なにせ半世紀以上に渡って使えるのですから、これは興味深い再発見でした。〔了〕

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